大判例

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名古屋高等裁判所金沢支部 記載ナシ 判決

主文

本件各控訴はいずれも棄却する。

理由

弁護人大橋茹同齊藤壽控訴趣意の第一点の要旨は原判決には理由不備の違法がある。原判決は被告人両名共謀の上十四回に小はば綿布千五十七反を衣料品配給割当公文書と引替えないで売渡したと判示し、臨時物資需給調整法第四條第一項第一條第一項衣料品配給規則第五條及刑法第六十條を適用した。然れども衣料品配給規則第五條に指称する衣料品とは同規則第一條に所謂商工大臣の指定する纎維製品である。而して、商工大臣の指定する纎維製品とは昭和二十二年九月十日商工省告示第五十八号の指定に該当するものでなければならぬ。從つて原判決は「小はば綿布」が前示所云衣料品に相当するか否かを証拠によつて認定し且つ右商工省告示の適用をしなければならない。然らば右具体的に証拠による衣料品の認定を爲さず右商工省告示の適用をしなかつた原判決には理由不備の違法があると云うのである。

しかし「小巾綿布」が所論昭和二十二年九月十日商工省告示第五十八号指定の衣料品に該当することは社会常識に照らし明白であり、原判決援用の証拠によれば本件織物が原判決認定の如く右の小幅綿布であることを明認しうるから原判決は証拠により本件織物が小巾の織物であること從つて右告示指定の衣料品であることを認定したものと云うことが出來る。

而して原判決は前記商工省告示をその判文に明記してはいないけれども、本件織物が右告示指定の衣料品に該当することは判文自体に徴し之を明認しうること前記説明の通りであるから右告示は原判決の判断に於て事実上其の適用を果され、且つ其の事実は暗に判決に表示せられたものと云うことが出來る。よつて原判決は其の判文に右告示の具体的な表記がない故をもつて理由不備の違法があると云うことが出來ない。論旨は理由がない。

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